カンボジア横断・クメール遺跡探求の旅

カンボジアは海外旅行を始めてまもない2001年の冬に訪れたことがある。当時は、カンボジア国内で観光ができる場所は限られていて、シェムリアップ周辺に限定した旅だった。バンテアイ・スレイに行くのに1日がかりだったことを覚えている。でもアンコールワットを始めとする遺跡の美しさは感動ものだったなあ。その後、色々な遺跡を見たけれど、美しさという点ではアンコールが世界遺産の中で筆頭クラスなのは間違いないと思う。
また行きたいなあ、アンコール・・と思いながら、5年の月日が流れたのであった

実は去年(2006年)は秋から体調悪くて、手術すると楽になりますよ〜どうします〜?とか言われてた。だから、冬の旅行は楽なところにしようと考えてた(旅行するなよ)。
そんなところに、「道もよくなったし、見られる遺跡が増えました〜。バンテアイ・チュマールの千手観音も見ます!」という誘い文句にぱくんと釣られて、二度目の気安さで参加したんですよね、このツアー。
まだ個人ではちょっと危ないと思われる場所を見せてもらえるわけだし、連泊も多いから楽だろうし、と思っちゃったんですね。お馬鹿ですね。登山だって、二度目だからって山が低くなるわけではないですよね。あはは。でも、低くなると思っちゃったんだい。

ということで、何回か、もうダメかも、と思ったんですがね、なぜか、帰ってきたら、不思議なことに体調回復して、手術不要かもしれませんね、しばらく様子を見ましょう状態になったんですよ。クメールの神々のご加護があったのかしらん。


1日目

実は1日目は成田から朝9時半の便でタイに入り、空港からカンボジア国境の街アランヤプラテートにバスで移動しただけ。
約7時間のフライトで着いた新しい国際空港(スワンナプーム国際空港)はやたら立派。でも、なんか工事が続いてるような雰囲気もある。バスに乗り換え、クーデター直後とは思えない平穏な景色を見ながら国境近くのホテルに着いたのは夜の8時だった。蒸し暑い。


2日目

今日はカンボジアに入国して、千手観音のレリーフで有名なバンテアイ・チュマールを見てから一気にシェムリアップに入るという強行軍の日。
年末だし、国境が混んでるかもしれない、ということで朝7時半にホテルを出て国境に向かう。


ホテルから約15分。
国境のタイ側は巨大なマーケット・バザールになっている。バザール内用の貸し自転車があるんだから凄い(キティちゃんが人気)。

ゲートが近くなると、あちらから続々と人が出てくる。なんでもカンボジア人が国境を越えて仕事に来ているらしい。
年末だから?と思ったけど、毎日のように仕事に来ている人が多いんだそうです。

なんか、かなり往来は自由みたい。
出国のオフィスで並んでいる間にも、隣の入国オフィスから続々と人が出て来ている。



多少は混んではいたものの、出国手続き自体は簡単で、国境の橋を越えると、そこはカンボジア。
しかし、
想像していたのとは違う風景である。
ど〜〜んとでっかいビルが建ってるじゃないかっ。

なんでもカジノらしい。
カンボジアにカジノがあるとは知らなんだ。国境越えて、タイ人とか外国人が押しかけているらしい。へ〜。

まあ、橋の下ではゴミがあふれる川の中で密入国用の荷造りをしてる人がいたり(かなり堂々としているが、いいのか)、天秤でドリアンとか売ってる人がいたりで、やっぱりカンボジアではあるのだけれど。




こんな豪華なところカンボジアじゃないわい、とカンボジア人が聞いたら怒る事間違いないことをつぶやきながら、次はカンボジアの入国手続き。写真を撮られて無事終了。
時計を見たら9時だった。出入国手続きに約1時間ちょっとかかったことになる。

さて、カンボジアのガイド君はハンサム君である。女性陣一同気をよくして、ちっこいバスに乗り換え、バンテアイ・チュマールに向かうのであった。

あっという間に舗装道路は消え、道路は未舗装に。激しく揺られながら、超のどかな田園風景を見て、やっとカンボジアに来たぜとの実感がわいて来るのである。

最初の目的地バンテアイ・チュマールはタイ国境から約50キロのシソポンの街(シェムリアップからは約90キロくらいらしい)から更に60キロほど北上したところにある。
シソポンを離れると食事がとれるところがないというので、シソポンで早い昼食を取り、悪路に揺られてバンテアイ・チュマールを目指す。
揺られ揺られて約1時間半。バンテアイ・チュマールに着いたのは午後1時15分だった。



バンテアイ・チュマール

のどかな景色の中で、大きな堀が見えてきたと思ったら、そこがバンテアイ・チュマールだった。シソポンを出てから約1時間半。午後1時15分着。

入口のゲートが下がってるんだけれど、管理人は不在。
人が来ないんで、どこかに行ってしまったらしい。

ガイド君が探してきてくれた管理人にゲートを開けてもらい、ようやく遺跡に入ると、入口に崩れた建物がある。経蔵で、元々は2つあったのだそうだ。

経蔵からまっすぐ進むと崩れた壁のようなものが見えてきた。回廊?

ここで説明が始まる。
バンテアイ・チュマールは、アンコール・トムのバイヨンを建立したジャヤヴァルマン7世が息子の菩提を弔うために建てた仏教寺院。
有名な千手観音やチャンパとの戦いを描いたレリーフが回廊に残っているけれど、内部はほとんど崩れてしまっているのだそうだ。




うう、早く見たいよ〜〜。でも、回廊に近づくには瓦礫の山を登っていかないといけない・・。



足元、かなり悪いよ。

瓦礫の上をバランス取りながらよたよた進むとレリーフが見えてくる。

寺院正面のレリーフは、チャンパとの戦い。

この寺院を建てたジャヤヴァルマン7世はカンボジアを侵略していたチャンパを追い払って国王になったという人物だそうで、チャンパとの戦いのレリーフは延々と続く。

レリーフも延々続くけど、瓦礫の山も延々と続く。
いったいこの瓦礫は寺院のどこの部分だったんだろう。


それにしても、なんでこんなに壊れているのか。ポルポト時代の内戦のためかと思ったら、それもあるけど、むしろ、その後の盗掘が酷かったらしい。美しい像は上の方にあることが多いので、それを取るために壊しちゃったんだそうだ。ひどいねえ。

それでも、ところどころに原型をとどめた建物部分や、ガルーダやナーガの美しい飾りを見ることもできる。昔は、さぞや綺麗で立派な寺院だったんだろう。


回廊のレリーフはチャンパとの戦いが延々と続いた後、内乱・内戦のレリーフ、王宮の生活を描いたレリーフと変化していく。レリーフを見るたびに瓦礫の山をよじ登るわけだけど、なんとかならんか、これ。
まあ、瓦礫も遺跡の一部なわけだし、簡単に修復は出来ないのだろうけど・・・。

遺跡入口から見ると、そろそろ真後ろまで来たかな、と思われるところで見えてきました。

バンテアイ・チュマールのハイライト

 千手観音

出入り口を挟んで、左右に一体づつ彫られているのが遠目にも分かるんだけれど、ここも瓦礫の山が凄い。

レリーフに近づくために、またも瓦礫をよじ登るわけなんだけど、
ここも、かなり足場が悪い・・・。
とはいえ、千手観音に会うためによっこらしょ




千手観音は向かって右側の方が顔も残っていて保存状態はいい。
瓦礫を登って近くから見た千手観音全景(向かって右側)
千手観音だけでなく、周囲に多くの仏が並ぶ


千手観音のUP
唇が赤いのは最近誰かが塗ったのではないか・・・との話
手の美しさはもちろん、胸飾り、耳飾も綺麗だ

綺麗だなあ・・・・

左側の千手観音は顔が失われているのが惜しいけれど、周囲のアプサラ(女神)像が美しい。ただ、木とか瓦礫が邪魔してて、上手く写真撮れなかったんだけど・・・

千手観音を堪能してから、王の息子の戦いを描いたレリーフを見て、遺跡内部に入っていく。内部は破壊が進んでいるけれど、バイオンに似た建造物が一部残っているのだそうだ。

ガイド君の後ろをしばらく付いていくと、見えてきました。しかし、ここも瓦礫をよじ登って進まないといけない。いままで以上に足場が悪い。


アンコール・トムのバイヨンに似た4面に人面(仏教寺院なので仏面という方が正確か)が彫られた塔がいくつもある・・・。

この顔はジャヤヴァルマン7世の顔だとも観音の顔とも言われているけれど、独創的。

これはジャヤヴァルマン7世が好きな様式らしい。

バイヨンが一番立派で豪華なわけだけど、実は似たようなものがここバンテアイ・チュマールだけでなくカンボジア各地に残っていて、この様式があれば、ああ、これはジャヤヴァルマン7世が建てたものね、と分かるのだとか。

他にもジャヤヴァルマン7世の建造物ではナーガとガルーダが一緒に彫られているとか特徴があるそうな。

ここから更に瓦礫の上を進むと、シヴァのレリーフが残っている場所とか、人面鳥身のキンナラの美しいレリーフがある場所に出て、気が付くと遺跡入口に戻っていた。

時計を見ると2時45分。ざっと1時間半観光していたことになる。

ということで、バンテアイ・チュマールの観光終了。
美しいレリーフが多いので、別にレポートをまとめてみました。
興味のある方は、どうぞ。                バンテアイ・チュマールのレポート



遺跡見学の後、トイレ休憩がてら立ち寄った遺跡近くの村にも面白いものがあった。

小さな堀の向こうに崩れているけれど仏面が四方に彫られた一つの塔が残っている。

どうやら昔はバンテアイ・チュマール周辺に多くの寺院があったらしく、その名残というわけ。

村の中には他にも、かっての城壁というか何かの建造物の跡らしいものが残っていたりする。

遺跡も面白いけれど、地元の人たちが穏やかで優しくて、いい感じ。
外国人が珍しいらしくて見に出てくるんだけど
子供も子犬もかわいいでしょ。

5年前に比べると、確実に経済がよくなっているみたいだ。ここはかなり田舎のはずなんだけど、村の人の洋服もいいものになってる。

女性の後ろに写っているのは、ハンモック。

さあ、後は、シェムリアップまで約150キロをひたすら走るぞ、ということで村を出たのが3時半。問題さえなければ8時ころにはホテルに着くのではないか、とのことだったけれど、さすがにそこはカンボジア、問題ないわけはないのであった。

まずはシソポンに戻る途中での通行止め。

電線工事のためというけれど、工事は道から離れたところでやってるし、わけわからん。


まあ、このときは、しばらくして通行止めも解除されたんで、どうってことなかったんだけどね。

なにより、このときは子豚ちゃんを運ぶお兄さんとかに会えて、なごんでいたのです。右の写真がそれ。竹かごの中に、子豚ちゃんが5匹くらい入ってるの。
なんか、かわいい。

外国人に取り囲まれて写真を撮られて恥ずかしがってたお兄さん、ごめんなさい。
本当の問題は、この後、シソポンを出てシェムリアップに向かう国道6号線で起こったのであります。
そう、既に日も暮れ、シェムリアップにも、だいぶ近づき、これは順調かと思っていたころ、国道上で突然バスは止まったのであります。なんだなんだと下車して見に行けば、前方の橋の上に大型トラックが立ち往生してるというか、橋が落ちてるんですよ。トラックが橋を壊したというか、トラックが橋にはまったというか。主要幹線道路で橋が落ちるって、それあるか、と思うけれど、未だにカンボジアでは日常茶飯事らしい。

仕方なく、道から降りて道なき道を走っていくことになった。乾期だから上手くすれば先に進めるだろうということで・・・・・。まあ、結果的にはなんとかなったんだけどね、シェムリアップのホテルに着いたのは9時を回っておりました。

今日は遅いし、疲れたから早くお風呂入って寝よ。
さすがにシェムリアップのホテルは設備がよくて問題なし。お湯もちゃんと出る。


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