5日目・ティカル


快適なお目覚めである。さあ、今日はいよいよ、今回のツアーの目的にしてハイライト、ティカル終日観光である。朝から、気合が入るわたしであった。


ホテルの部屋のベランダに出てみる。
いい眺め。

湖はペテン・イツァ湖。
グアテマラで3番目に大きな湖で自然保護区域になっているところもあるそうだ。

湖の青がきれい。
空の青がきれい。

でも、もう、暑い。
部屋を出て、湖を一望するベランダで朝食をとるだけで、うっすら汗ばんでくる。

・・・これは、ティカルの暑さは、かなりのものが、予想されますな。
タオルを余計に持ったほうがよさそうだ。

虫除けスプレーなどを確認して、ティカル国立公園へ向かう。


ティカルは世界遺産の中でも数少ない複合遺産。遺跡だけでなく、周囲のジャングル自体も自然遺産として保護の対象になっている。
なんとジャガーもいるらしい。まず、お目にかかれないはずだが、数年前に飛び出してきたジャガーを車で轢いてしまい、未だに刑務所に入っているかわいそうな人もいるそうな。
ということで、車は公園のゲートをくぐり、かなり減速してビジターセンターへ向かう。

ビジターセンターで、順路の説明を受ける。

ティカル遺跡といえば、一番のメインは1号神殿と2号神殿が立ち並び、周囲に宮殿・アクロポリスが並ぶグランプラザであるが、ここはお後の楽しみということで、まずはジャングルを通って双子のピラミッド・4号神殿に向かい、そこから失われた世界・7つの神殿の広場、5号神殿を見てからグランプラザに向かうとのこと。

つまりは、4号神殿や5号神殿から、ティカルの神殿群を見下ろしながら、徐々にメインに近づくという順路である。

で、ビジターセンターを出ると、すぐ前にあるのが復元された貯水池。
かってはこのような貯水池がいくつも作られていたらしい。

で、この貯水池、わにさんもいるらしいのだ。
なのに、この周囲はキャンプ場になっている。国立公園ということで、入口付近にはキャンプ場とかホテルもあるんだよね。

いいのか?
わにさんのいる貯水池を抜けると、ジャングルである。

ジャングルの入口付近に立派なセイバの木があった。

このセイバの木は、マヤの時代には神木とされた木である。

大地に張った根。まっすぐな幹。そして、頭上で四方に枝が伸びる様子から、天上(枝)、地下(根)、地上(幹)をあらわすものとされている。

セイバはマヤの世界樹、「生命の木」であって、世界の中心に立っているのだそうな。

この写真のセイバの木は樹齢170年くらいらしい。

写真では入らなかったけど、根が板根といって、非常に立派である。

このセイバの木の周囲だけ、なぜか青空が見えたが、その後は、鬱蒼とした昼なお暗きジャングルの世界。
暑い・・・歩くだけで汗が・・立ち止まっても汗が噴き出してくる。
ジャングルは、暗くて、暑い。
それだけではなく、わけのわからない動物がうじゃうじゃいる。

最初に向かう双子のピラミッドのあたりは、観光客があまり来ないせいか、特に動物が多いみたいで・・・・ホエザルの威嚇する声が響き渡る。
ホエザルの鳴き声・・・これって、結構、怖い。
なんとも形容しがたい・・・動物の鳴き声というよりはゴジラの鳴き声に近い、低くて威嚇的な声が響く。怪獣映画の効果音によさそう。

ツアーで大勢だからいいけど、一人か二人だったら逃げ出したくなるくらいの声だよ。

で、頭上を見上げると、木の枝が大きく波打って・・・そうホエザルが移動中なんである。

右の写真の中央よりちょっと上くらいに、ホントはホエザルが写ってるのよ(笑)。
いや、この写真で、ホエザルが分かる人は凄いと思うけど。

頭上にはホエザルが、そして下の方ではハナグマなんていうアライグマの仲間がもぞもぞしているのである。
ジャングル、すごいなあ。
そして、進むこと・・15分くらいかな、ようやく双子のピラミッドに到着である。

ここはコンプレックスQとも呼ばれる場所で、右の写真のようなピラミッドが2つと、ピラミッドの前の石碑、そして、2つのピラミッドの間に左右に祭祀に用いたと思われる石碑や祭壇のある場所なんである。

双子のピラミッドではあるが、修復されているのは、この一つのみ。もう一つはジャングルの木々に覆われた小さな山のようになっている。
実はティカルの遺跡公園内には、修復されていないピラミッドなんかは、うようよある。
要は、あまりに大きな遺跡すぎて、修復が間に合わないわけ。

そんな未修復のピラミッドらしきものを見ながら、今度は20分くらいジャングルを移動する。
あ、暑いよお。
ジャングルの暑さは半端じゃない。はじめはタオルで汗を拭いてたんだけどね、そんなんじゃ間に合いません。タオル首に巻くことにしたけど・・・。あっという間にぐちょぐちょ。ぐへ。

ジャングルの木々が開けて、ちょっとした広場に出ると・・・そこは実は4号神殿の下。

4号神殿・・・・木々の上から、ちょびっと頭が見える。
この神殿、頭以外は木々に埋もれていて、山のように見えるんだけど、神殿なんである。

マヤのピラミッドだから、本来は、正面に階段があるはずなのだけど、まったく木々に覆われているため、右の写真のような梯子というか階段を登って上にどうぞ、なのである。

この写真に写ってるのは、ホントに、下の方だけ、こんな階段というか梯子というかが、ず〜〜っと上まで続いているのである。
なんせ、4号神殿は頂上までの高さが70m。
この階段は一番上までは行かないけど、60mくらいのところまで続いているのだ。
ひいひい言いながら登るしかない。
おまけに梯子は、かなり急で怖い。

それでも、みんな登るのは、絶景が待っているから。


ティカルに来たなら見なくてはならぬこの風景・・・・

ジャングル・樹海からそびえるティカルの神殿群である。

ジャングルの木々は20〜30mの高さがある。
その木々より高い神殿・ピラミッド群。

爽快である。

写真のピラミッドは、左から1号神殿・2号神殿、3号神殿。
他に5号神殿も見えるのだ。ここからは・・・。
ああ。ティカルに来てよかった・・・って観光はまだ始まったばかりだけど。
凄いなあ、ティカル。
4号神殿の上で、絶景に見とれながら、しばしの休息。
ジャングルの上は、陽射しはきついけど、きもちがいいんだ。

それに降りるの怖いし。

とはいえ、降りないわけにも行かないのですが・・・降りたところで新しいミネラルウオーター買って一気飲み。

またも、噴き出す汗・・・でも、このころには、もう上から下まで汗でぐっちょりなので、もう、どうでもいい状態である。それより、水を補給しないと熱中症で死ぬのではないか。

水を補給して、再びジャングルの中へ。
失われた世界と呼ばれる天体観測の場とか、現在修復中の3号神殿の横顔を見たり、7つの神殿の広場と言われる未だ木々に覆われた神殿群を見ながら、次に向かうは5号神殿である。

一番高い4号神殿を登ったことだし、5号神殿(57m)はちょろいかと思っていたのだけど。
いや、ティカル最大の脅威は、この5号神殿であったのだ。

5号神殿は4号神殿と違って、修復が進んでいる。
とはいえ、真ん中の階段から登るのは危なすぎるというので、横に梯子が付けられているのだが・・・・

・・・・・・・・。

4号神殿の梯子は、まだ、傾斜があった。

踊り場みたいのもあった。

でも、ここのは、ほとんど直立する梯子である。

おまけに踊り場は、ほとんどないに等しい。

ガイドさんは言うのであった。
「ここからの見晴らしは凄いですよ。グランプラザが横から見えますから。でも、僕は登りません。仕事で、どうしても登らなくてはならないとき以外、僕は登りません。
僕は荷物の番をしてますから、どうぞ。」
そんなに登らないと強調しなくても・・・気持ちはわかるけど。

でも荷物・・そう4号神殿のときはリュックも持てたし、水も持って上がれたけど。
・・・リュックなんかして、バランス崩したら、恐ろしいことになるのは目に見えてる。

リュック預けます。

登ります。

決死の覚悟である。

で、必死に登って見た絶景。

4号神殿と違って、ここからは1号神殿と2号神殿を横から見ることができる。

右が1号神殿。高さ51m。
左は2号神殿。高さ38m。

うう。感動。
登る価値は十分にある。


5号神殿の真下を見ると、くらくらするので、ひたすら遠景を見つめるわたしであった。


ここは、4号神殿と違って登りきった場所にほとんどスペースがない。人が二人並んで歩くことも不可能じゃないか。壁に張り付いて景色を眺めるのがやっとである。

昔の神官達は高所恐怖症という言葉を知らなかったのか。それとも、しょっちゅう登っていれば慣れるものなのか・・・。
マヤのピラミッドからは生贄を下に落としたとかいう説も聞くけどさ、生贄じゃなくたって、落ちれば死ぬよ、簡単に。
ということで、景色を堪能し、いにしえに思いを馳せるのはいいのだけど、問題は下りである。

右の写真を見て・・
この梯子というか階段というかは、右側が登り専用、左側が下り専用になってるのね。

でも、登る人も降りる人も、どっちも背中を向けてるでしょ。

なんでだか分かる?

正面なんか向いたら、怖くて降りられないんだよっ!!

最初の一歩がなんともいえない恐怖である。
あとは手すりを持つ手に力を込めて・・・

が、わたしの前を降りていった外人兄ちゃんが、途中でフリーズしてるではないか。
兄ちゃん頑張れ。下見るんじゃない。
・・・・。
いつまでもフリーズされると、わたしまで怖くなるじゃないかっ!!

結局、降りるまでに、この兄ちゃんは4・5回、フリーズを繰り返したのであった。
降りたとき、冷や汗びっしょりで青くなっていた。かわいそうに。

でもね、冷や汗でなくても、汗はホント、凄い。ツアーの一人が首に巻いたタオルが絞れる〜といいながら、実際に絞っていた。うう。
笑えるのはさ、ピラミッド登って記念撮影するじゃない・・・できた写真見ると、みんな顔が長風呂でのぼせたような顔になってるの(爆)。汗のお風呂に入ってるようなものだからねえ(ためいき)。
5号神殿からは、ティカルのハイライトであるグランプラザまですぐである。
まず、2号神殿の背中が見えてくる。

おおおおお。
2号神殿の影から1号神殿が、そして、グランプラザの全景が見えてくる。

うう。感動。向かい合う2つの神殿ピラミッド。それを取り巻く左右のアクロポリス。

すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい。すっごい!

まずは2号神殿に登ってから(高さ38mなので、怖くない)、色々と見て回ることに。



1号神殿。

写真中央部分には5号神殿のシルエットも。


2号神殿に登れば正面からの姿もしっかりと見ることができるが、この角度からの姿はやはり美しい。






2号神殿


わたしに技術があったなら、1号神殿と2号神殿の写真を合体させて、グランプラザ全体図を作るのだけど、残念ながら技術がない。

でも、背の高い1号神殿と、背は低いものの優しいフォルムの2号神殿が向かい合って建っている様子は、他に例がない。

1号神殿と2号神殿の周囲には、聖地であった北のアクロポリスとエリートの住居跡である中央アクロポリスが広がっている。ここから見る神殿もすてき。
当初は自由時間が20分などという添乗員さんの言葉に絶句したのだが、現地ガイドさんの、それじゃあ足りませんの一言で1時間弱の自由時間を勝ち取ることができた。ありがとう。ガイドさん(涙)。
でも、それでも短いくらいだ。アクロポリスを駆け回るので精一杯だった。ここだけで1日ほしい(お金があればね)。ああ。凄いなあ。凄いなあ。3号神殿が見える。5号神殿も見える。

とまあ、興奮のうちに昼食前の観光が終わり(もう2時半近く・・・既に5時間観光してるのか)のあと、急に天気が崩れ始めた。それとともに、体調不良の人が出始める。この蒸し暑さである。熱中症になってなければいいけど。
降りだした雨の中、昼食のため、ビジターセンター近くに移動。足元を見るとハキリアリが行列作って葉っぱを運んでる。働き者だね〜。

蚊がぶんぶん飛び回る開放式のレストランで(虫除けスプレーなどはジャングルの虫にはほとんど効果がない。洋服の上から刺してくる・・・汗まみれだし、うまそうなんだろう。きっと)遅い昼食を取っている間に、幸い雨は上がった。
涼しくなるといいけど、蒸し暑さが増すばかりだったりして・・いや、これから夕暮れだし。

昼食後は、6号神殿の見学である。

6号神殿は、ティカルで一番最近発見された神殿。
といっても、1951年のことらしいが。

この神殿は他の神殿とは離れたところにぽつんとある。
修復は一応終わっているらしいけれど、なかなか野生的な雰囲気。
屋根の部分に神聖文字が刻まれていることから碑銘の神殿ともいわれているらしいけど。

高さが12mしかないので、ジャングルに埋もれていて暗い。

ここは、あんまり人が来ないらしく、猿達が多い。
再び響き渡るホエザルの声。
地面には猿達が食い散らかした果物が散乱している。

ちょっと少人数では怖いかも。


時計は既に4時を回っている。
あんまり遅くなるとビジターセンターの売店が閉まってしまうというので、そろそろ戻ることに。
6号神殿から、ビジターセンターに戻るのに30分くらいとのこと。夕方になり、ただでさえ薄暗いジャングルがどんどんと暗くなってきている。


人も少なくなり、動物さんたちも夕飯時なのか、動きが激しくなってきたみたいだ。

わたしたちの10mくらい前を、ハナグマらしき群れが横切る。
なんなのかな、通り道なんだろうか。
次々に横切る。
止まってみてたら、更に一匹がダッシュ。こいつはみそっかすで、一匹だけ取り残されていたみたいだ(笑)。


ということで、5時少し前にビジターセンターに戻り、本日の観光終了。

凄いなあ。ティカル。
今日登ることができたのは、2号神殿・4号神殿・5号神殿。登れるものには全部登った。
終日観光のツアーでよかった。できれば、もっと時間が欲しいくらいだもの。

残念だったのは1号神殿に登れなくなっていたこと。たぶん、落下事故で死亡した人がいたからだろう。
1号神殿に登れれば、2号神殿とその背後の3号神殿・4号神殿も見えるはずなのだけど。


だけど、1号神殿が登れるようになったら、また、来たいな。そのときは3号神殿も修復が終わって登れるようになっているかな。
クーラーをがんがんにした部屋で虫刺されの薬を塗りながら、見てきたばかりのティカルをもう一度見たいと思うのであった。でも、そのときは乾季にしよう。うん。

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大興奮のティカルのアルバムを作りました。色々調べたりしたこともまとめたので、興味のある方はどうぞ。たぶん、凄く重いですが。

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