12日目


昨日から泊まっているのはアウランガバードという街。ムガール帝国6代皇帝のアウラングゼーブ・・・あのタージ・マハルを作ったシャー・ジャハーンを幽閉した息子が開いた街。
インドの地名で「バード」というのがつくのはイスラム系の町なんだそうだ。アウラングゼーブは敬虔なイスラム教徒だったということで、この街は今でもイスラム教徒が多いらしい。
ちなみに「ブール」とつくのはヒンズー教徒の町だって。

アウランガバードはアジャンタとエローラの観光拠点の街として、いいホテルも多い。今日はエローラ観光を観光することになってる。

ダウラターバード
アウランガバードの街を出て40分ほど、エローラに向かう途中にあるダウラターバードで写真休憩。

ダウラターバードというのは「宝の街」という意味。ここは12世紀のヤーダヴァ朝の首都だったところ。

山を砦としたもので、堀にはワニを放ち、難攻不落を誇ったらしい。ヤーダヴァ朝以降も色々な王がここを砦として利用したとのこと。

山の頂上にはシャージャハーンが作った宮殿とか大砲とかもあるらしいし、秘密のトンネルもあるとかで、なんか楽しそうな場所なんだけど、残念ながら入口から眺めて写真を撮るだけ。




エローラ
ダウラターバードから約1時間、アウランガバードから2時間弱でエローラに着く。

エローラは7世紀ころから10世紀ころまで作られ続けた石窟群で、仏教・ヒンズー教・ジャイナ教の寺院が並んで作られている。アジャンタは全て仏教寺院で8世紀ころには放棄されてしまったけれど、ここでは3つの宗教の寺院が並存し、しかも、忘れ去られることなく、ずっと信仰の対象となっていたというから面白い。

エローラのハイライトといえば、岩山から巨大なヒンズー教寺院を彫り出してしまったというカイラーサ・ナータ寺院だけど、ここは最後のお楽しみということで、まずはジャイナ教の寺院群へ。


ジャイナ教寺院群

エローラには34の石窟があって、南から北に1・2・・・と順番に番号が付けられているんだけど、ジャイナ教寺院は一番北の30〜34。

エローラの中でも一番遅い9世紀ころから作られたもの。
見どころは32窟。

入口の門をくぐると、まず象さんがお出迎え。

ジャイナ教は徹底した非暴力・非殺生の宗教なんだけど、教徒にはお金持ちが多い。
なんでも、象さんは非殺生を旨とするジャイナ教のシンボル(確かに草食だ)で、しかも、富の象徴でもあるとか。



象さんの左側には祠堂があり、中にはジャイナ教の祖師達が刻まれている。
そして、祠堂や象さんを取り囲むように2階建ての石窟寺院が彫られている。

左手一階には、ジャイナ教の祖師や美しい女神像などが彫られている(左下)。ジャイナ教の祖師は、すっぽんぽんの姿で彫られていて、これは無所有の教えによるもの。ジャイナ教徒の中でも熱心な信者は今でも無所有・不殺生のため、全裸で暮らし、虫を踏み殺さないように、歩くときも前を掃きながら歩くというから凄い。
そこまでしない一般信者も動物はもとより虫を殺さないようにということで農業には従事せず、もっぱら商業に従事している。彼らは信用があるので商売繁盛、お金持ちが多く、寄進にいそしむので、今も昔もジャイナ教寺院は豪華なものが多い。ここのジャイナ教寺院も装飾が綺麗だ。右下の写真は2階部分。天井や柱の装飾が見事。





仏教寺院群


仏教寺院群はエローラの南側にある1〜12の寺院。エローラでも一番最初に作られ始めたのが仏教寺院とのこと。


仏教寺院は、どちらかというと質素・簡素な作りという印象。

初期に作られた石窟だからか、仏教という教え自体の持つ性格なのかは分からないけど・・・。

石窟の中には石のベンチ(?テーブル?)みたいなものが並ぶだけの集会所か食堂のようなものもある。

エローラの仏教寺院は第10窟が唯一の塔院(チャイティヤ)で、それ以外は全て僧院(ヴィハーラ)。
第11窟・第12窟などは3階建てで、ビルみたい。




いくつかの仏教寺院には、きれいな仏像のレリーフが残っている。たとえば、第6窟は綺麗な仏像が多い(左下)。仏教寺院にあるからには菩薩像か観音像なんだろうけれど、やけに胸と腰が大きくて、ウエストが細い凄いグラマーな女神像にしか見えないものも・・・。

巨大な3階建ての僧院(右下)。たしか第11窟。第12窟も似たような作り。ビルのようだ。




第16窟・カイラーサ・ナータ寺院

ジャイナ教寺院・仏教寺院と見た後は、いよいよエローラのハイライト、ヒンズー教寺院のカイラーサ・ナータ寺院の見学。
カイラーサ・ナータ寺院というのは、ヒンズー教のシヴァ神を祀る神殿だ。カイラーサというのは、シヴァ神が住むというヒマラヤの山の名前。

カイラーサ・ナータ寺院は、ちょっと見ただけでも、巨大で壮麗な寺院なんだけど、何が凄いって、石を組んで作った寺院ではなく、岩山をくり貫いて丸ごと作ってしまった寺院なんである。

今回、訪れた時には、修理中でビニールシートがかかっていたりして、ちょっと美観は損ねてるんだけど・・・写真では崖のようになっているのは彫りだした跡。つまり、この寺院は巨大な彫刻なんである。やるう。




カイラーサ・ナータ寺院は入口からして、いくつもの彫刻で飾られている。そして、その入口をくぐると、左右に大きな象の彫刻があり、その後ろには岩肌をくり貫いて、2階建て(一部は3階建て)の寺院というか回廊が、ぐるりとカイラーサ・ナータ寺院を取り囲んでいる(左下)。

そして、カイラーサ・ナータ寺院本体は、入口(楼門)から、ナンディー堂・拝殿・本殿(祠堂)と4つの建物がつながっている形をしている。写真右下は楼門の上からナンディー堂・拝殿・本殿を眺めたところ。





カイラーサ・ナータ寺院の外壁はラーマ・ヤナやマハーバーラタの場面や神像・象・獅子といった美しい彫刻に飾られている。しかし、これだけのものを全て岩山から彫り出すのというのは凄まじい情熱というか・・・・世界一の彫刻であることは間違いがないだろう。

なんでも、8世紀から作られ始め、完成までに220年もの歳月がかかったのだそうだ。現地ガイドさんの話では、職人達が7代に渡って従事したとか・・・。




カイラーサ・ナータ寺院を一通り見学した後、遅い昼食をとり、その後1時間の自由時間となった。

自由時間とあらば、カイラーサ・ナータ寺院の裏山に登らないわけにはいかない。
だって、上から見下ろすと凄いんですよ。

下から見るだけでも十分凄いけれど、上から眺めると、大きさが実感できるというか・・・・

崖のようになっている部分も何もかも、全て人力で岩山を彫り出したのかと思うと・・・ほんと、感動。

ただ、この裏山、手すりとか保護するものがないので、登るからには自己責任で。
楼門の右手から登っていくほうが登りやすいけど、左手に回りこんでからが、とても滑りやすくなっている。靴が悪いときは危険だと思う。要注意。




裏山に登って一周してから、残った時間をどうしようか迷ったけど、この機会にカイラーサ・ナータ寺院をじっくり見ることにした。寺院をとりまく回廊をゆっくりと見学し(この回廊の彫刻も凄い)、回廊の2階・3階と登って、寺院の外壁もじっくり見てみた。いやあ、実に見ごたえがありますなあ。

本当は、もっと時間があったら、カイラーサ・ナータ寺院以外のヒンズー教石窟寺院も覗いてみたかったんだけどね、それには、やはりツアーではなく個人旅行で来ないと無理かなあ。



ということで、本日の観光はおしまい。


インドの修学旅行生達(今日も、やたらたくさん居た。日本人が法隆寺や東大寺に修学旅行で行くようなものなんだろう)と写真を撮り合ったりしながら、バスに戻る。
なぜか彼らは日本人と写真を一緒に撮りたがるんだよなあ。不思議だ。

そうそう、駐車場に戻る途中にお猿さんがたくさんいました。

インドでは、やたら各地にお猿さんがいるなあ。
なんか種類も色々。

ここのお猿さんは、小さくて、毛並みが白っぽくて綺麗だった。
あんまり、凶暴でもないし・・・。



今日もアウランガバードに泊まって、明日はムンバイに移動することになっている。
いよいよ、旅も終わりに近い。


エローラは見どころが多いので、別にレポートをまとめてみた。
カイラーサ・ナータ寺院 エローラのレポート前編を見る
仏教寺院・ジャイナ教寺院 エローラのレポート後編を見る


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