5日目・マランへ

今日は、東部ジャワのマランという街に向けての大移動。朝の6時20分にはホテルを出発という強行軍。幾つかの遺跡を見ながら移動して、明日からの観光の拠点となるマランに着くのは夜の8時ころだって。
ここからは地球の歩き方には書いてないので、手元にある資料は大雑把な地図だけ。

バスに揺られ揺られて、最初の遺跡チャンディ・ディゴワンギに着いたのが11時20分。もう5時間もバスに乗ってる。地図で確認すると、ここは、東部ジャワのクディリという街から北東に位置する。かなり東に来たな。


チャンディ・ティゴワンギ

この遺跡は15世紀のマジャパヒト王朝時代の王子の霊廟なんだそうな。

今は基壇の部分しか残っていない。

プランバナンのロロ・ジョグランもそうだったけど、ジャワのヒンズー教寺院は王族の霊廟も兼ねることが多い。
祠堂の中のリンガの下に個人の髪や爪を入れて、リンガを拝むと同時に個人を偲んだものらしい。

ここも、本来は、ロロ・ジョグランの祠堂のように基壇の上に部屋と屋根が
あったはずなんだけど、残念ながら、そこまでは修復が進んでいない。




ただ、基壇部分にはレリーフがびっしりと彫り込まれている。

テーマはマハーバーラタに出てくる王子の一人であるスダマラの物語。

シヴァ神の妻ウマーが夫によってドゥルガーに変えられてしまい、元の姿に戻るためにはスダマラ(サハデーヴァ)の助けがいるのだけれど、そのスダマラも囚われていて・・・ということなんだけど、なんか結構、複雑な話らしく、よく分からなかった・・。
昨日のチャンディ・スクーにも同じお話のレリーフがあり、かなり好まれたお話みたいなんだけど。

写真はドゥルガーに戦勝祈願する母。






チャンディ・スロウォノ

ディゴワンギから車で30分くらいのところにチャンディ・スロウォノはある。

ここもマジャパヒト王朝の王族の霊廟で15世紀ころに建てられたものだけど、今は基壇しか残っていない。

でも、ここの基壇のレリーフは凄い見ごたえがある。
ここのお話は、マハーバーラタの中でインドネシア化したアルジュナ物語。

簡単に言うとアルジュナがシヴァ神等の助けを借りて悪魔を倒す話なんだけど、神が助けを与える理由が彼の瞑想とかそういう「修行」によって「資格あり」と認められたから、というところが面白い。





右下はアルジュナの前にシヴァ神が姿を現すところ。
左下はアルジュナが弓で悪魔を倒すところ。
この前の場面で天女が悪魔を誘惑して弱点が舌の先であることを聞き出していて
アルジュナは悪魔の舌の先に弓を射て倒す。
写真を見てもらえば分かるように、レリーフはすきまがないほどびっしりと彫り込まれていて、これは東部ジャワ遺跡の特徴らしい。人物はあいかわらずデフォルメされている感じだけど、全体的に繊細で優美な雰囲気。

小さい遺跡なんだけど、なんか、立ち去りがたいんだよなあ。


この後、付近のクディリという街で昼食を取り、レストランの隣のショッピングセンターで買物をした。何を買ったって? ビールですよビール。あと、おつまみね。いやあ、インドネシアはイスラム圏のはずなのに、ビールを始めとするお酒が結構、堂々と売っている。誰が飲むんでしょう。でも、助かります。暑いんで、ビールがなにより〜。





チャンディ・パタナラン

チャンディ・パタナランについたのは、もう夕刻だった。チャンディ・パタナランは東部ジャワのブリタールという街の北東にある。
ここも公園としてきれいに整備されている。
しかも、かなり広い。

この寺院は12世紀から15世紀にかけて作られたもので、もともとは近くのクルート火山を拝む場所だったらしい(またも山岳信仰だ)。

その後、ヒンズー教と結びついて寺院が発展し、13世紀末から15世紀中ごろまでジャワを支配したマジャパヒト王朝の中心的寺院となったものらしい。

広すぎてわかりにくいけど、ここも3段のテラスになっていて、少しづつ登っていく形になっている。
写真の左端に、ちょっとだけ写っているのがプンドポ(儀式の場)、それから右に順に塔堂、本殿。

入口から進むと、まず、儀式の場であったプンドポの基壇がある。ここもレリーフが残っている。
太った男と痩せた男の話が面白い。二人は兄弟で、一人は瞑想の修行ばかりして痩せていて、もう一人はおいしいものを食べて太っていた。

ある日、トラが痩せた男を食おうとしたので、痩せた男は自分は痩せているから太った男を食えという(ひどい兄弟だ)。

トラが太った男のところに行くと、太った男は喜んで自分の体を差し出そう、つまり食わせようとする。

そうすると、トラがインドラ神の姿を現し、太った男を乗せて天に昇っていった、というお話。


東ジャワの人たちは、この寓話を「太った人=仏教、痩せた人=ヒンズー教」で、仏教の方が優れているととらえているんだそうだ。でも、ここヒンズー教寺院なんですが(笑)。

それにしても、レリーフのトラはかわいいというか愛嬌がある。レリーフでは、置いていかれた痩せた男がトラのしっぽにつかまって自分も天に行こうとしているところとかも描かれていて、かなり楽しい。



プンドポから2段目のテラスに進むと、まず、塔堂の前に出る。

この塔堂のカーラは東部ジャワの特徴で下あごがある。中にはガネーシャが祀られている。カーラの下の四角く囲まれたところに「1369年」の年号が彫られている(左下)。

そして、更に進むと、ナーガ堂と呼ばれる建物が現れる(右下)。
このナーガ堂、ナーガが建物全体をうねるように取り囲み、それを天人が支えているんだけど、実に綺麗だ。天人は鐘をもっている。もともとは武器庫だったらしい。




本殿に進もうと思ったとき、日が沈みかけているのに気がついた。
ナーガ堂、塔堂の向こうに日が沈んで行く。



全部見終わるまで、明るいといいな。



本殿は現在は、3壇の建物となっているが、実際はもっと高かったらしい。現在、本殿の横で第4壇が修復中で、修復が終了したら、上に乗せると言っていた。

第1壇には、ラーマヤーナのハヌマーンの活躍が、第2壇にはクリシュナ物語が、そして第3壇にはガルーダのレリーフが彫られている。

写真は第1壇のレリーフ。
左下は悪魔を倒すハヌマーン(猿だから、ちゃんと尻尾がある)。
右下は円形状のレリーフ。これは竜だが、他にも、鳥や象など様々なレリーフが基壇を飾っている。


本殿の一番上の第3壇まで見終わったところで、自由時間。

でも、もう夕闇が迫ってきている。

マランに着いたのは夜の8時。
長い1日だったなあ。
明日はマラン近郊の遺跡観光だから楽なはずだけど。


インドネシア6日目に進む

インドネシアの旅日記TOPに戻る

旅日記と遺跡レポートTOPに戻る


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送