6日目

早いもので、今回のツアーも残すところ、あと2日。
今日も、6時のモーニングコールで飛び起きて、朝から元気に遺跡巡りである。
遺跡ばっか見て、な〜にが楽しいんでしょ、っと言われそうな気もするけど、楽しいんだ、これが。



まずは、ペナングンガン山という舌を噛みそうな名前の山に向かう。

このペナングンガン山、ジャワの霊山・聖地で「ジャワの須弥山」とまで言われているらしい。
周囲には150もの寺院跡があるというから、凄い。

雲が出ていて、なかなか山の姿を拝めなかったんだけど、なんとか山頂だけは雲が晴れてくれた時に撮ったのが右の写真。

ガイドさんが見せてくれた本の写真では、ちょうど雲で隠れたあたりに4つの小さな山が中央の山頂をとりまくようにぐるりと囲んでいる。どうやら、その姿がヒンズー教の霊山と似ているというところに信仰された理由があるらしい。




チャンディ・ベラハン
このペナングンガン山の東側山麓にあるのが、チャンディ・ベラハン。
道が凄いので、途中で「トラック二台」に乗り換えて行きます、ということだったんだけど、きたのはちっこいトラック1台。もう一台来るのかと思ったら「え、一台ですよ。トラックの荷台に乗って行くって言ったじゃないですか」・・・・むう。今回のガイド君が関西人であることを忘れてた。
ちっこい荷台にぎゅうぎゅうずめになって、急な坂道をよたよた10分くらい登ると到着。

着いたところは、イメージしていた「寺院」というよりは、むしろ「沐浴場」と言った風情。

しかし、ここは沐浴場であると同時に、11世紀に、この地に栄えたクディリ朝のアイルランガ王の霊廟でもあるんだそうだ。

写真のように、沐浴場には女神像が2体飾られている。
右がラクシュミー、左がシェリー。
ともにヴィシュヌ神の妻である。

今は持ち去られているが、女神像の間、つまり中央にヴィシュヌ神の像が飾られていたらしい。


そして、アイルランガ王はヴィシュヌの化身とされたんだそうな。つまり、ヴィシュヌ神を拝むことが、同時に王に祈るということにもなったわけだ。おそらく、ヴィシュヌ神の像も王の姿を写したものだったのだろう。

この沐浴場の水は、山の湧き水を引いてある。霊山の湧き水で身を清める・・・きっと霊験あらたかとされたんだろう。そして、その場所が、同時に王の霊廟ともされた、ということらしい。
山岳信仰と、祖霊信仰の合体ということ?。どうやら、山岳信仰・祖霊信仰は、ヒンズー教や仏教が入ってくる以前からのジャワの古い信仰で、次第にジャワ独自の宗教観が復活していったものらしい。

また、ラクシュミーの乳房から水が出ているのは、豊穣のシンボルだそうな。ラクシュミーといえば、日本では吉祥天だけど、随分と、姿が違うもんですな。

と、まあ、信仰面を考えるには、かなり面白い遺跡なんだけど、実は、チャンディ・ベラハンという遺跡はこれだけである。正確には、左手にちょっとしたレリーフがあと1つだけ残っているけど。




せっかくなので、周囲を見ながら途中まで歩いて降りることになった。

ここでも、山の斜面が段々に開墾され、田んぼとなっている。棚田っていうのかな。
田植えの最中の女性達は手を振ってくれました。

女性達の後ろの田んぼは、刈り入れが終わったばかり。稲刈りと田植えが同時期にできるジャワならではの光景かも・・・。
二期作・・だっけ?

ツアーで同行した年配の人が、ぽつりと「日本人が、どんなに頑張って品種改良しても、二期作はできなかったのにな・・」とつぶやいた。

ガイドさんがいうには、ジャワはインドネシアの中でも、特に土地が豊かなのだそうだ。

今では、なんと3回収穫ができる米まで作られているらしい。

稲作民族にとっては、ジャワは理想郷かも。


チャンディ・ベラハン、面白かったといえば面白かったけど、正直、「これだけか?」という印象はぬぐえない。バスに戻った我々の雰囲気を察したのか、急遽、予定されてなかったペナングンガン山の西側にある遺跡にも向かうことになった。らっき〜。




チャンディ・ジョロトウンド

ペナングンガン山の西側にある遺跡は、チャンディ・ジョロトウンドという遺跡である。
ここも、凄い山道で、バスは途中で立ち往生。トラックを予約していたわけではなかったので、ひたすら自分の足で登る・・・・結構、かなり・・しんどい。暑いし。

山道をひたすら登って・・・20分くらいかなあ、もっとかなあ・・・息も絶え絶えになったころ、ようやく到着。

ここも沐浴場兼霊廟だとのことだが、かなり大きい。

この遺跡もクディリ王朝のもので、さっき行ったチャンディ・ベラハンに祀られていたアイルランガ王の父であるウダヤナ王の霊廟なんだそうだ。

この沐浴場、今では神像などはなく、ただ壁面にウダヤナ王の名前と977年を示す文字だけが残っている。

しかし、かっては、中央にヴィシュヌ神が祀られていた他、美しい像がいくつも置かれていたらしい。ジャカルタの中央博物館に女神像があるそうな。
帰りの山道で、蠍を発見。

ここに行く人は気をつけてね。


バスは山を降り、美しい水田を見ながら、次に向かうのは13世紀末から15世紀にかけて栄えたマジャパヒト王朝の都があったトロウランという街。





博物館
昼食のあと、トロウランの博物館へ。マジャパヒト王朝の都だっただけあって、マジャパヒト王朝の説明が充実している。マジャパヒト王朝は現在のインドネシアと同じくらい広い地域を支配していたとか。貿易で栄えたらしく、中国製の皿なども展示されていて、結構、勉強になる。海のシルクロード、というやつですな。

また、ここには、マジャパヒト王朝のものに限らず、東部ジャワの遺跡から出土したものが数多く展示されている。

特に見落とせないのが、ガルーダに乗ったヴィシュヌ神像(左下)。
このヴィシュヌ神像は、午前中に行ったチャンディ・ベラハンにあったものだとも、チャンディ・ジョロトウンドにあったものだとも言われている。かなり大きくて、立派だし、彫りも美しい。
この大きさからすると、ベラハンよりジョロトウンドにあったんじゃないかと思えるけど、どうなのかな。
他にも、美しい像やユニークな像が多くて、地方の博物館ならが、かなり見ごたえがある。
右下は、美しい仏像・・・逆光なんで、上手く写らなかったけど、非常に優美。



展示品に解説がほとんどないのが残念だなあ。

左下のなんか、なんなんですかね、これ。足元には頭蓋骨が彫られてますが・・・。
右下はガネーシャ。かなり彫りが見事なんだけど、もしかしたら、レプリカかもしれない・・・。
廊下に無造作に置いてあったし・・・。

博物館というのは、やっぱり面白い。
今回のツアー、日程の関係か、ジャカルタの国立中央博物館が入っていないんだよね。
できれば、見たかったなあ。中央博物館も・・。




チャンディ・ティクス
博物館から、車で5分くらいのところに、チャンディ・ティクスはある。

ここはマジャパヒト王朝時代に作られた水浴場といわれている。
特徴的なのは、レンガつくりであること。

この水浴場、中央にあるのが須弥山で、周囲は海を表わしているとか。
つまりはヒンズー教の世界観を具現化した場所なんだそうだ。

中央の山を表わした建物の周囲には4つの小さな塔の様なものがある。ペナングンガン山と同じですね。

ここは、今では、子供達の水浴び場になっている。わたしたちが写真を撮ったあと、子供達が来て、水遊びをしていた。だいぶ、日は傾いてきたけど、わたし達も、水浴びをしたいくらいの陽気。




チャンディ・パジャン・ラツウ

これで予定の観光は終わりなんだけど、帰り道にチャンディ・パジャン・ラツウに立ち寄ってもらえた。

チャンディ・ティクスからは車で5分くらいのところにあり、道路からもよく見える遺跡だ。

チャンディと名前がついてはいるけれど、これは寺院や霊廟ではなく、どうやらマジャパヒト王朝時代の「門」。

マジャパヒト王宮の門であったのではないか、と言われている。この門の両側に、かっては城壁があったのではないか、というのだ。
つまり、門の向こうは、かっての王宮?
ロマンですな。今は何も残ってないけど・・。

この門、近づくとレンガ作りであることが分かる。
門の入口には、やはりカーラが彫られていて、綺麗だ。

ちなみに、この門、中を通ると結婚できなくなると、地元では言われているらしいので注意(笑)。





見学してたら、猫の声がした。

近寄って写真を撮ろうとしたら、遊んでいた女の子が逃げようとする猫を捕まえてくれた(笑)。

写真を撮ってもいいか、というので、猫さんとの写真を撮ったら、近くの子が、わたしも〜〜という感じで寄ってきたので、また一枚(右)。

このあと、また小さい子が寄って来て、撮ってもらいたそうにしているので、また、一枚。

で、さらに小さい子が寄って来て・・・。

最後には4人の子供と猫さんの記念写真に(笑)。

猫さん、目が怒ってます。

でも、インドネシアの子供達は、かわいいな。ちょっとはにかみ屋さんなんだけど、人懐っこくて。



猫さんの写真を撮ったところで、本日の観光はお終い。

いよいよ、明日が最終日。
ほんと、早いなあ。


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