7日目

早いもので、もう最終日。今日は遺跡を見ながらスラバヤまで移動し、夜の便でジャカルタ経由で帰国することになっている。

チャンディ・キダル

まずは、マランから東に車で30分くらいのところにある、チャンディ・キダルに。
ここは1260年ころ、シンガサーリ王朝2代目のアヌーシャパティの霊廟でシヴァ神を本尊とするチャンディ。

中部ジャワ様式(幅広)から東部ジャワ様式(細い)への過渡期の建物と言われているんだけど、残念ながら、チャンディの周囲に足場を組んで、コケや雑草を落とす作業をしてたので、全体をしっかり見ることはできなかった。
中部ジャワと同じくカーラとマカラがセットになっているのに、カーラには下あごがあるという東部ジャワの特徴とかは、なんとか確認できたけど。

あと、基壇の側面のガルーダのレリーフが綺麗。

ガルーダはナーガの奴隷とされた母を解放するために、神のアムリタを奪う。右はアムリタを入れた瓶を頭上に乗せるガルーダ。

実は、このチャンディは、無理やりに再婚させられた母を慰めるために王(王子?)が建てたともいわれている。母を解放させてあげたいという王の気持ちが、このガルーダのレリーフとなったんだそうな。



次の遺跡に向かう途中で、山から噴煙が上がっているのに気がついた。

見えますかね(左)。

最初に気がついたときは、もっと派手に噴煙あげてたんだけど、バスが止まったときには、ちょっと大人しくなっちゃった。

ガイドさんによると、噴煙を上げているのはスメル山。これくらいのことは、よくあることらしい。

ほんとに、インドネシアは火山国・地震国なんだなあ・・・。



次は、チャンディ・ジャゴという遺跡を目指すのだけど、この遺跡、トゥンパンという町の中にあるということで、どうせなら、市場とかを見ながら行こうという事になった。

小さな町だけど、市場は結構広い。細い通路が碁盤の目のように走って、食料品からシャンプー・洋服・おもちゃまで、色んなものが売っている。
日本製のシャンプーはかなりの売れ筋らしい(ライオンが頑張っている)。他にも日本のアニメのおもちゃやら、キティちゃん風の子供の洋服やら、はては「がんこや汚れに」という日本語のまま売っているたわしとか・・。

市場の人たちはお店もお客も女性がほとんどだけど、結構、笑顔とか向けてくれる。中には、写真を撮れ撮れと絶叫しているおばさんもいたが、そういわれると撮る気なくなるもので・・・。

走り回っている猫を写真に撮ろうとしたら、また、近くの人が猫を捕まえようとしてくれた。インドネシアの人たちは親切というか猫を捕まえるのが好きなのか。



市場を抜けると住宅街。玄関先のにわとりやら、それを狙う猫やらを見ながら、民家を抜けると、いきなりチャンディ・ジャゴに出る。ほんと、町の中の遺跡だ。




チャンディ・ジャゴ


チャンディ・ジャゴは13世紀に建てられたシンガサーリ王朝4代目の霊廟。
ただ、後のマジャパヒト王朝の時代に補修されたらしく、二つの時代が混在している(この二つの王朝は血縁関係があったらしい)。

現在では、基壇と祠堂への入口部分だけしか残っていないけど、それでも、かなり大きい。

基壇部分だけでも第一基壇・第二基壇とあるし・・。

かっては、かなり巨大で立派な霊廟だったんだろう。






建物の脇には、仏像やカーラが置かれている。

この仏像、顔は失われているけど不空羂索観音。日本では奈良・東大寺の三月堂の本尊が有名だ。手に持った網であまねく人を救うという観音である。

この寺院が当初は仏教寺院だったことを物語るもの・・・。

観音の両脇にあるのはカーラ。
かなり大きい。
かっての寺院の入口に、このカーラが飾られていたとなると・・・入口もかなり大きかったはず。カーラも、かってのこの寺院の巨大さをしのぶものだ。
それにしても仏像とカーラ・・仏教とヒンズーが混合していたことがよくわかる。
この寺院、現在ではレリーフが有名らしい。蛇の妻の浮気を友人が教え、嘘だと言う妻に対し、友人が真実を証明する話とか(・・・よくわかんない)もあるけど、有名なのは次の2つだと思う。

左下は基壇一段目に描かれた仏教説話。地獄を見に行った男のお話。写真の左の方には牛の形をした地獄の釜が描かれている。牛の背中にある丸いのは地獄の鎌で煮られている人間の頭。写真の右端には牛の頭の地獄の鬼らしいものもいる。

右下は基壇二段目のマハーバーラタの一場面。賭けに負けて12年間、ジャングルで生活するというお話。デフォルメされた人物が多いが、美人や主人公は三頭身ではないのがわかりやすい(笑)。ここには写っていないが、二段目には十一重の塔も描かれていて、かってのジャコ寺院の姿ではないかと言われている。
結構、見ごたえのある寺院だ。1時間くらいは見学したかな。

見学の後、再び、民家の間を抜けてバスに戻り、スラバヤを目指して北上を始める。このあたりの道には馬車が多い。観光用ではなく、地元の人の足代わりになっているらしい。





チャンディ・シンガサーリ



バスで一時間ほどで、チャンディ・シンガサーリに到着。

いきなり、巨大なドヴァラバーラがお出迎え。
ドヴァラバーラはいわゆる守門神で、プランバナンを始め色んなところで見かけたけど、ここのは、ともかくでかい。

なんでも高さ4m、重さ23トンとか。後ろの建物から大きさが分かってもらえるかなあ。

ちなみに、わたしは身長1.65mですが、このドヴァラバーラの横に立つたら、やっと頭が手のひらのあたりでした・・・。

このでっかいドヴァラバーラは、道を挟んで左右2体あります。

チャンディ・シンガサーリは、ここから車で数分移動したところに・・・ちょっと離れてるということは、かっては、それだけ大きな寺院だったということかなあ。





チャンディ・シンガサーリは、その名前から当然、シンガサーリ王朝の建築物だと思っていたら、シンガサーリ王朝最後の王(5代目)であるクルタナガラ王の霊廟ではあるけれど、建てられたのは次のマジャパイト王朝になってからなんだそうだ。

さっきの、チャンディ・ジャゴもそうだったけど、シンガサーリ王朝とマジャパイト王朝は血縁関係があったとのことで、前の王朝の王様の霊廟を作ったり、補修したりしているわけ。

この霊廟は、中央の祠堂を4つの小さな祠堂が取り囲むように建てられている。
ヒンズーの世界観・須弥山を表しているもので、昨日見たチャンディ・ティクスやペナングンガン山と同じ。王が世界の中心であることを意味しているらしい。

この小さな祠堂や中央の祠堂には、かっては立派な像が置かれていたらしいけれど、ほとんどがオランダに持っていかれてしまったらしい。

今では正面右側にアガスティヤ像が残っているだけなのが寂しい。




チャンディ・シンガサーリは、現在では巨大なドヴァラバーラと祠堂が一つ残っているだけだけど、もともとは9つの寺院があった場所らしい。ガイドさんが見せてくれた写真集には、ここで発見された、とても美しい仏像が写っていた。それこそ東部ジャワ美術の至宝とか評されたに違いない美しさだけど、残念ながら、これも、いまはない。ああ、残念。

ここには近辺で発見された仏像などで、持ち去られなかったものが幾つか置かれている。

左下は美しい仏像・・・頭部がないので置いていかれたんだろうね。でも、十分、綺麗。
右下は三尊仏かと思ったら、シヴァ神だそうです。よく見るとヨーニの上に乗っている。


最終日なのに、結構、見どころが多い。
更に北上して、マランとスラバヤの中間あたりにあるチャンディ・ジャビィへ





チャンディ・ジャビィ


今回のツアー最後の観光が、ここチャンディ・ジャビィ。

チャンディ・シンガサーリ同様、ここもシンガサーリ王朝最後の王クルタナガラの霊廟だ。

ヒンズーと仏教の混合が強い。
屋根の頂上はストゥーパ。

かってはシヴァ神と釈尊が祀られていたとか。

細身の美しい祠堂だ。
周囲には堀があり、蓮の花が咲いていた。


  



スラバヤ
予定されていた全ての観光を終えて、スラバヤに向かう。このまま飛行場に向かうのかと思ったら、ちょっと時間があるとのことで、急遽、スラバヤのアル・アクバル国立モスクに立ち寄ることとなった。

このモスク、現代的で、内部にはエスカレーターとかあるし、宴会場とかもあるらしい。
市民が集える場にすることが目的なんだそうだ。

ここで、綺麗な花嫁さんに会うことができた。
これから結婚式らしい。

緊張している様子だったので、とても写真なんか撮らせてもらえないかと思ったら、意外にもOkしてもらえました。

花嫁さんも、ちょっと緊張が解けたかも?

この後見学した、モスク内部の宴会場では、彼女の結婚披露宴の準備の真っ最中でした。

お幸せに〜。
ツアーの最後に、綺麗な花嫁さんにあえて、なんか、こちらもしあわせ。






ということで、あっという間だったインドネシアの旅。スラバヤ19時発の飛行機でジャカルタに向かい、ジャカルタ23時40分発の飛行機で成田へ。機中は、バリ島帰りの若者でいっぱい。ああ。もう日本だ。

ボロブドゥールとプランバナンが見たい、ということで参加したツアーだったけど、後半のジャワ東部の遺跡群も2つの世界遺産とは別の意味で面白かった。ジャカルタとかジャワとかだと強盗が多くて物騒だと聞くけれど、今回のツアーで廻ったところでは、ボロブドゥールの土産売りが五月蠅かったくらいで、穏やかで人懐っこい人ばっかりだったし。

バリのテロ以来、大津波とか災難続きのインドネシアだけど、早く復興して欲しいものです。でも、それにしても復興支援の募金箱、どこにもなかったのは、なぜ?



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