イシス神殿・フィラエ島
フィラエ島はアスワンダムの上流・アスワンハイダムの下流といった場所に位置する。
元々、フィラエ島はオシリスの妹であり妻でもあるイシス女神がホルス神を生んだ場所として、聖地であった。そのため、ここにはイシス女神を祀るイシス神殿が築かれ、緑の美しさともあいまって「ナイルの真珠」と呼ばれてきた。
ところが、アスワンダムの建築により、このフィラエ島も水没することとなり、遺跡保護のため、隣接するアギルキア島に遺跡が解体移築された。遺跡を移転しただけでなく、島の形も、もともとのフィラエ島に似せたというから、凄い。
現存する遺跡は、古代エジプト末期王朝から、プトレマイオス朝、ローマ時代にかけてのもの。
イシス神殿に行くには、フェリー・ボートを利用しなくてはならない。
ボートに10分くらい乗っていると、イシス神殿が見えてくる。
ボートはイシス神殿を横から眺めながら、渋滞する桟橋へと移動していく。
写真右側の大きな建物が第一塔門、そこから左に誕生殿、第二塔門、本殿と続く。
この神殿はクレオパトラの父のころに完成したらしい。
桟橋を降りると正面が、この第一塔門。
桟橋から、この第一塔門まで、美しい列柱が続いている。
この第一塔門の右側にはホルス神を中心にイシス女神らが、左側には敵を打ちすえるファラオが刻まれている。
この第一塔門の左側の入口から進めば誕生殿、中央の入口から進めば第二塔門。
左下は第二塔門。中央にハヤブサの頭を持つホルス神が彫られている。
右下はハトホル柱。ハトホル柱というのは、牡牛の耳を持つ愛と喜びの女神ハトホルの顔を彫り込んだ柱のこと。ハトホルはホルスの妻である。そのせいか、この神殿にはハトホル柱が多い。
本殿手前の列柱広間
巨大な柱は、パピルスをかたどっていて美しい。
イシス神殿は保存がよく、屋根もしっかりしているのだが、その分、奥まった部屋はどうしても薄暗くなってしまう。
風雨にさらされていないから、レリーフの保存状態はいいのだけれど・・・。
その点、ここは明かりが入って、気持ちのいい空間。
レリーフ
この神殿、建物が美しいだけでなく、内部のレリーフが非常に美しい。
イシス女神の神殿だけあって、女神のファミリーが数多く描かれている。
神々の家族関係を整理すると、兄妹の関係にあるオシリス神・イシス女神が夫婦で、その息子がホルス神、そして息子(ホルス)の妻がハトホル女神となっている。
左はオシリス(左)・イシス(中央)・ホルス(右)のファミリー。
ホルスが幼児の姿で描かれている珍しいもの。
エジプトの神話をはしょって紹介すると、オシリスは弟であるセト神に殺されてしまい、死体をばらばらにされた。それを妹であり妻であるイシス女神が拾い集め、オシリス神を復活させた。復活したオシリスは冥界の王となった。
死後の生活を重視した古代エジプトでは、冥界の王であるオシリスは非常に重要な神。再生と復活から、枯れた植物が再び芽を出すということに結び付けられ、穀物神との性格も持っている。
イシス女神はオシリス神の妻であるとともに、ホルス神の母として尊敬されている。死者の保護者としても描かれることが多い。頭の上に、日輪と牝牛の角や椅子(玉座)を載せている。
ホルス神は、ハヤブサの頭を持つ天空の神。ファラオはホルス神の地上での化身とされた。
こちらは大人のホルス神(左)。
通常、ホルス神はこのようにハヤブサの頭で表現される。
ハヤブサといっても精悍というより、丸みをおびて可愛らしい。
しかし、単に可愛いだけではない。
ファラオがホルス神の地上での化身とされたことから、ホルス神はファラオの守護者でもある。
更に、天空の神としての性格からか、太陽神とも合体していく。
隣の牝ライオンの頭をした女神は、おそらく勝利の女神セクメト。
左はホルス神に乳を飲ませるイシス女神。
イシス女神がホルス神を生んだ地とされるだけあって、この神殿には幼いホルスと母としてのイシスを描いたレリーフが多い。
これは、その中でも有名なもの。
真ん中の椅子に座っているのがイシス女神。赤ん坊のホルス神を抱いて乳を飲ませている。
これもホルス神に乳をふくませるイシス女神。
こちらのイシスは立ったまま、乳を飲ませている。
女神の顔が壊されているけど、ホルス神の状態はかなりいい。
上のレリーフもそうだが、子供のころのホルス神はなぜかハヤブサの頭をしていない。
それと裸の姿なのは、古代エジプトでは「子供」であることの象徴。
古代エジプトでは大人は決して裸では描かないのだそうだ。
こちらは、オシリス神とイシス女神のレリーフ
一番右側の羽根を持った女神がイシス女神。
イシス女神の羽根で守られているのがオシリス神。
死者の保護者としてのイシス女神の姿である。
それにしても、羽根で守っているイシス女神の像はとても綺麗だ・・。
女神像
髪や髪飾りが、とても美しい。
フィラエ島には、イシス神殿だけでなく、ハトホル神殿、トラヤヌス帝のキオスクなど、いくつもの建造物がある。
右はトラヤヌス帝のキオスク。
船着場の側の休息所らしい。
未完成ということだが、なかなか美しい建物。
この建物の裏は、もうナイル河である。
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