ラメセス3世葬祭殿

ラメセス3世葬祭殿は、ルクソール西岸にある。付近にはハトシェプスト女王葬祭殿やラメセス2世葬祭殿もあり、かってはナイル川の側に葬祭殿がいくつも建てられていたらしい。

ラメセス3世は紀元前1170年ころの王であり、ラメセス2世から100年ほど後の王で王朝も違う。しかし、ラメセス3世の時代はエジプトに「海の民」が侵攻してきた時代であり、彼はヒッタイトを破った(と思われていた)ラメセス2世を尊敬していたらしい。


ラメセス3世葬祭殿の入口。

中に入るには、手前で荷物検査を受けなくてはならない。


シリア風の建築様式で作られた門
こういった外国様式の門があるのも、異民族が侵攻して来ていた時代の影響なのかもしれない。

とはいえ、この門はあまり大きなものではない。
だから、あまり大きな建造物ではないのかな、と思っていたら、ここを抜けてからが凄かった。



シリア風の門を抜けると、いきなり大きな塔門が見えてくる。

これが第一塔門。
この塔門にも、エドフのホルス神殿のように旗竿を立てる4つの縦型のくぼみが残っている。

ちょっと分かりにくいけれど、向かって左側には海の民を破ったラメセス3世の戦いのレリーフがある。

王が敵の髪をつかんで打ちすえているシーン。ラメセス2世を尊敬していただけあって、図柄も似ている。




第一塔門を抜けると第一中庭に出る。

中庭を取り囲むように列柱があり、列柱にも、壁面にも、びっしりとレリーフが彫られている。

ここの特徴は彫りが他の神殿に比べて深いこと。

これはエジプトでは歴代の王が古い神殿を自分のものに改ざんして利用することが多かった(つまりは古いものを彫りなおして利用したことが多かった)ことから、改ざんを防止しようとの意味があるらしい。
壁面には、海の民との戦闘シーンなども数多く彫られている。

彫りが深いだけでなく、色彩がとても綺麗に残っているのも、この神殿の特徴。


ハトシェプスト女王葬祭殿も色彩が綺麗に残っているが、色彩が残っている範囲というか量的な点から言えば、こちらの方が圧倒的に保存状態がいい。

この神殿、本によっては「ナイル西岸に残された建造物の中で最も保存状態がいい」と紹介されているくらいで、実に色が綺麗である。




第二塔門を抜けると、更に色彩が鮮やかになってくる。下の写真は、どちらも第二中庭の列柱室の天井部分。紀元前1170年とか、そんなに古い時代の壁画がなぜここまで色彩鮮やかに残っているのか、修復作業をもちろんしているのだろうけれど、それにしても見事。


この第二中庭奥の列柱部分は、天井だけでなく、柱も壁も、ともかく見事に色彩が残っている。古代エジプトの神殿というのは、結構、色彩鮮やかな華やかなものだったことが、よくわかる。



更に奥に進むと、柱が途中で切れてしまっている一角に出る。
天井がないためか、さすがに色は残っていないけれど、やはり彫りが深くて、なかなか迫力がある。



更に、この脇にも、いくつかの小部屋があって、美しいレリーフが残っている。

学問の神であるマントヒヒのレリーフや、青い肌のナイル川の神など・・・・ともかく保存状態がいいので、見飽きることはない。


約1時間ほどかけて見たけれど、もう少し時間が欲しいところ。
帰国してから調べたけれど、ここを詳しく書いてある本は少ないみたいだ。
もう少し紹介されていい遺跡のような気がする。




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