カルナック神殿


カルナック神殿はルクソールにある巨大な神殿で、エジプト最大の神殿であるのはもちろん、世界的に見ても神殿として最大級のものと言われている。

もともとは、今から4000年ほど前に、テーベ(現ルクソール)の地方神であるアメン神の神殿として造られたが、その後歴代の王達が神殿や像の寄進を繰り返したため、巨大な建造物群となったもの。祀られているアメン神の性格も、テーベ候が上下エジプトを支配するに至るようになると、地方神から太陽神ラーと結合して国家の最高神へと変わっていっている。アメン神は二枚の羽根の冠をかぶっているのが目印。



カルナック神殿の入口である第一塔門。
第一塔門は末期王朝時代に作られている。壊れているのではなく、未完成なのだそうだ。

この第一塔門の前には、スフィンクス参道が続いている。



更にスフィンクス参道の手前には、古代の船着場がある。
つまり、かっては、神殿のそばまで船で来て、船着場まで船を降り、、スフィンクス参道を通って、神殿に入った・・ということになる。




ここのスフィンクスは私たちが見慣れたスフィンクスとは少し違う。

普通、スフィンクスというと、ライオンの体にファラオの顔だが、ここのスフィンクスは牡羊の頭をしている。

アメン神の聖獣ということらしい。


スフィンクスの前足の間に小さなファラオが彫られている。現地ガイドはアメンホテプ3世が作ったと言っていたが、帰国後読んだ本にはラメセス2世と書いてある。
どちらが本当なのか・・・。



第一塔門を抜けると、第一中庭と呼ばれる広い空間に出る。

ここにも柱が残っているが、ほとんどが壊れてしまっている。
もともとは、この巨大な空間にも礼拝堂があったわけである。



進行方向に見えるのが第二塔門。
ちょっと写真では分かりにくいけど、第二塔門の入口には左右にファラオの巨像がある。
右側の巨像がラメセス2世。


この第二塔門の向こうが、有名な大列柱室。

大列柱室の巨大な柱が、入口の間から姿を見せている。





この第一中庭に、壊れた小さなスフィンクスがある。

見落としてしまいそうな小さな像だけれど、実はこれ、ツタンカーメンのスフィンクスなのだそうだ。


若くして亡くなったツタンカーメンは余り後世に残るような建造物などを作っていないので、珍しい。

このスフィンクスは前足で何かを捧げるかなにかしているように見える。




大列柱室

写真だと比べるものがないので、大きさが分からないが、この柱の高さは23m。そんな巨大な柱が、なんと130本も林立しており、その場にいると、ともかく圧倒される。

この大列柱室、ラメセス1世が建設を始め、セティ1世が引き継ぎ、ラメセス2世が完成させたもの。

巨大なだけでなく、柱には美しいレリーフが残っているし、天井部分にも色が残っている。それにしても、あんなに大きな石をどうやって載せたのか。
ここは壁のレリーフも見事。カデシュの戦いなどが刻まれている。



巨大な大列柱室を抜けると、2本のオベリスクが見えてくる。

トトメス1世のオベリスク(右)と、ハトシェプスト女王(左)のオベリスク
トトメス1世のオベリスクは22m、ハトシェプスト女王のオベリスクは30mもある。


ハトシェプスト女王のオベリスクは、後にトトメス3世が壁で覆ってしまった(本当は壊したかったが、神にささげたものを壊すことはできないので、見えないようにしたらしい)が、そのために、かえって保存状態がよくなっているというから皮肉。




至聖所と、その前に立つ上下エジプトの統一を示す柱

カルナック神殿は、もともとは、この至聖所から始まっている。
4000年前は、あくまでもテーベ(現ルクソール)の地方神のための小さな神殿だったわけだ。
このあたりも、後に何回か手を加えられているらしいが、古い時代を感じさせる。


それにしても、この小さな神殿が大神殿に発展していったというのは、歴代ファラオの情熱のなせる業というか・・・。
これらの神殿は花崗岩で築かれ、現在もその姿を残しているが、ファラオの宮殿というのは日干し煉瓦で造られたため、今日ではほとんど残っていない。
それは、古代エジプトのファラオ達にとっては神や死後の墓の方が大事で、現世の生活には余り興味がなかったからなのだそうだ。




至聖所の裏手には、トトメス3世の祝祭殿が残っている。

この建造物の内部は、彩色が残っている部分も多い。

また、後にキリスト教徒が書いた聖人の絵や、十字架の形に変えてしまった古代の像なども残っている。

更に、裏手には「ハトシェプスト女王の植物園」と呼ばれるところがあって、そこにはエジプトにはない異国の植物のレリーフが残されている。貿易に力を入れた女王ならではというべきか。

写真の左手、トトメス3世祝祭殿の手前に大きな石が写っているが、これは神殿最古の石組みの跡。




カルナック神殿の横には聖なる池があるのだが、その手前に、倒れたオベリスクが置いてある。

このオベリスクはハトシェプスト女王のオベリスク。
折れた上部が置かれているわけ。




上の方だけなので、あまり大きなものではないが、美しいレリーフを間近で見ることができる。



折れたオベリスクのそばには、こんなものもある。

カエルのようにも見えるけれど、これはスカラベ。要は、ふんころがし。

古代エジプトではスカラベは神の化身で強い力を持つといわれていた。

なんでも、このスカラベの周りを、時計とは反対周りに3回廻ると幸せになるのだそうな。

後ろに見えるのは、ハトシェプスト女王のオベリスクとトトメス1世のオベリスク。





気がつけば、アメン神に捧げられた神殿なのに、アメン神が全くなかった・・・。


ということで、右は大列柱室入口の第二塔門付近にあったレリーフ

真ん中あたりに、頭の上に長いものを載せた人物像が見えるけれど、これがアメン神(アメン・ラー神)。

頭の上に乗っているのは、二枚の羽根。
この羽根冠がアメン神のシンボル
しかし、アメン神は羊の頭をした神として表現されることもあるそうだ。カルナック神殿のスフィンクスが羊の頭なのも、その関係なのだろう。


ちなみに、羽根冠をつけた神としては、他に豊穣神であるミン神があり、この神ともアメン神は結び付けられている。




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