アジャンタ(後編)
第16窟
第10窟から、しばらくは簡素な僧院や未完成窟が並ぶ。
しばらくいくと、大きな2頭の象が彫られた場所にでる。
ここは第16窟の入口。約30の石窟があるというアジャンタのちょうど真ん中あたり。
この象の入口、エレファントゲートについては三蔵法師の大唐西域記にも記載があるんだそうだ。
第16窟は、このエレファントゲートをくぐって、階段を登って入っていく。
第16窟も僧院(ヴィハーラ)だけど、入口が凝っている割には、内部はあんまり壁画が残っていないので、どちらかというと簡素な印象を受ける。
とはいえ、ここの石窟は当時の王国の宰相が作ったというので、もともとは、結構、豪華な石窟だったのかもしれない。
ここの天井には右の写真のような人物像がいくつも彫られている。かなり彫りがきれいだ。
ここの本尊は椅子に腰掛けた形の釈迦像。転法輪印を結んでいて、結構立派な石像だ。
第17窟
第17窟は第1窟と並ぶ見どころの一つと言われている。
ここはアジャンタの藩王が6世紀に作ったといわれる僧院(ヴィハーラ)。
壁画のテーマは、釈迦の前世物語や仏教説話など。
ここの壁画は、宮廷の官能的な女性が描かれているかと思えば、戦闘シーンもあリ、かと思うと、右みたいな動物(何かの説話だったと思うけれど・・・)を描いたものもあって、かなりバリエーションが豊かだ。
左下は酔象調伏の壁画。テーヴァダッタが釈迦を殺そうとして象を放ったけれど、釈迦の前で象も大人しくなってしまったという御話。
右下は釈迦。結構、奥まったところにあって、撮影するのは結構大変。実物は写真よりずっと穏やかで素晴らしい。
ここも天井画は見事だ(左下)。中央は天女だろうか。花の模様も繊細で美しい。
右下は、壁と天井・・・・びっしりと描かれた壁画の様子が分かってもらえる?
第19窟
第19窟もストゥーパが置かれた塔院(チャイティヤ)。
一見すると、仏像が置かれているように思えるが、この仏像が彫られたのがストゥーパ。
簡素な第9窟、第10窟に比べると、ストゥーパ自体が美しく装飾され、天井までとどく上部も傘蓋のような形で彫り込まれている。
これは後期・大乗仏教期に作られたもの。
後期になると、このようにストゥーパに仏像が彫られるようになったのだそうだ。
ストゥーパだけでなく、柱の装飾も綺麗だし、柱の上の壁にも多くの仏像で彫られている。
第26窟
第26窟は入口からして立派だ。
これは後期・大乗仏教期の塔院(チャイティヤ)。
塔院の中ではアジャンタ最大。
入口の前に立つ人の大きさからも分かるように、かなり大きい。
二階にある明かり取りの窓も大きいし、その周囲の装飾もかなり派手である。
正面にまわると、明かり取りの窓の周囲は何段にも小さな仏像がびっしりと彫り込まれ、更に大き目の仏像が左右にアクセントのように彫られている。
かなり気合の入った窟だ。
内部も第19窟より、より大きく、より豪華になっている。
内部のストゥーパも、より豪華になっている。ここの仏像は椅子に腰掛けたような姿。ストゥーパを飾る彫りも細かい(左下)。
ここでは、U字型に並ぶ列柱の奥にも、多くの仏像が彫られている。特に、左側には、インドで最大の涅槃仏(右下)が彫られている。全長7,3m。大きいのはもちろんだけど、その表情の柔和さ、穏やかさは素晴らしい。
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