ボロブドゥール・後編


ボロブドゥールの回廊のレリーフは本当に見事だが、回廊に配置された仏像なども、見落とせない。

回廊に置かれた仏像だけで、なんと432体もあるそうだ。
位置によって仏像の手の格好(印相)も違うので、チェックしていくと楽しい。


また、ボロブドゥールは緑の中の遺跡である。
回廊から見える山々も、森も、なんともいえず美しい。

レリーフを見るのに疲れたら、ちょっと周囲を眺めてみるのもいいかもしれない。






ボロブドゥールの各層を登っていくときには、必ず、この門を通る。各層の東西南北に4つづつある。

門の上部にあるのはカーラ。
写真には写っていないけど、下にはワニみたいなマカラというのもいる。

カーラとマカラはインドネシアでは、非常によく見る装飾。魔よけのような意味があるみたいで、寺院の入口などにセットで彫り込まれていることが多い。

カーラというのは頭だけ。
不老不死の薬を飲んだところで首をはねられたんで、首から上だけになったらしい。でも、カンボジアでは自分の手足を食べちゃって首だけになった、とか聞いたような気もする。
もともとは、インドの死者の神「ヤマ」の別名だとか、仏教の閻魔だとか本には書いてあるが・・まあ、インドネシアではマカラとセットで魔を払うものとして扱われている、と考えるのが素直かも。





円壇・ストゥーパ


ボロブドゥールの上部は、右の写真のような釣鐘型のストゥーパが林立する円壇となっている。

回廊部分が基本的に方形だったのに対し、ここは3段の円壇で構成されている。
円壇が3つ置かれ、一番上の中心に大ストゥーパが乗るという構造。

写真奥に写っている大きなストゥーパが大ストゥーパ。

この大ストゥーパを中心に、3段の円壇の上に、釣鐘型のストゥーパがぐるりと円を描くように置かれているわけ。
その数、全部で72。

小ストゥーパは格子状になっていて、のぞくと中に仏像が置かれているのがわかる。
格子部分が壊れて、仏像が姿を現しているところがいくつかあって、絶好の撮影ポイントとなっている(笑)。





ボロブドゥールのストゥーパで、もう一つ外せないのは「仏像に触ると幸せになれる」というもの。

正面(東側)の階段を登って、最初に目に入る二つのストゥーパのうち、右側がその幸せの仏像が入っているストゥーパ。

格子から手を突っ込んで、みんなが触ろうとしている。

現地ガイドさんの話では「女性は仏像の右足、男性は仏像の右手」に触れれば幸せになる・・ということらしい。

これやってみると、右足は簡単に触れるんだけど、右手は結構大変。

たぶん、イスラムでは右が神聖なので、最初に目に入るストゥーパが神聖といわれて始まったんじゃないかな、とは現地ガイドさんの弁。






円壇部分は、壁もなく、周囲を見渡すときの開放感も素晴らしい。

周囲は一面の緑。

円壇を上に登っていくと、ストゥーパが、ぐるりと置かれているのがよくわかる。

インドからの観光客が、仏像の出たストゥーパのところで記念撮影をしてた。
インドのサリーは、こういう場所では映えますね(ちなみに、ここはインドネシア)。






ボロブドゥールは美しいものであふれているけれど、こんなのもある。

獅子なんだろうな。たぶん。
いたるところに、二体でセットで置かれてる。
狛犬みたいな感じ。

なんともいえない愛嬌がある。
かわいい、というか。


結構、色んなところで、色んなポーズをとってるので、これを見て回るのも楽しいかもしれない。
ちなみに、後姿(おしり)も、かわいい(笑)。

以上、ざっと見たところで約4時間。
かなりの見ごたえがある、堂々たる世界遺産。
最低でも3時間はかけたい・・というか、かかるんじゃないか。





ボロブドゥールの付近には、チャンディ・パオン、チャンディ・ムンドゥという2つの仏教寺院がある。この2つの寺院、実は、かってはボロブドゥールと参道でつながっていたといわれるもの。どちらもボロブドゥールと同じシャイレーンドラ王朝によって築かれたもので、ボロブドゥールの先駆的な作品とされている。
特に、チャンディ・ムンドゥは内部にインドネシア最高の石像といわれる三体仏が置かれているほか、外部のレリーフも見事なので、おすすめ。



チャンディ・パオン


チャンディ・パオンは小さな仏教寺院。
ボロブドゥールからは約2キロ弱のところにあり、建てられたのは8世紀後半とされている。

高さ12mほどの小さな堂がひっそりと建っているだけで、訪れる観光客もあまりいない。

この寺院の見どころは、天樹と飛天、そして半人半鳥のキンナリ・キンナラのレリーフ。

天界の姿を描いた美しいレリーフ。






チャンディ・ムンドゥ

チャンディ・ムンドゥはチャンディ・パオンから約1キロ、ボロブドールからは約3キロ弱のところにある。


いまは一つしか建物が残っていないが、もともとは周囲に多くの伽藍を有していたのではないかと言われている。

建造時期は800年ごろ。ボロブドールの少し前に建てられたものらしい。

この寺院は内部も、外壁のレリーフも、ともかく見事。







内部は薄暗いが、巨大な3体の石像が置かれている。案内の人が、外から鏡で光を入れてくれるのだが、光の中に浮かび上がる三尊仏が素晴らしい。

中央には初転法輪印を結ぶ釈迦牟尼仏。
右には観世音菩薩、左には金剛手菩薩。

釈迦牟尼仏は高さが約3mもある。
インドの流れを組みつつ、独自の優しげで穏やかな表情からジャワ美術の最高傑作のひとつとされている。
脇侍も実に見事。





この三尊仏の部屋に通じる通路にも美しいレリーフが彫られている。

これは毘沙門天とされるもの。
とはいえ、実際には、お父さんと子供の家庭的な雰囲気。
子供が遊ぶ樹の上には鳥が飛んでたりするし、何より子供達がかわいい。

このレリーフの向かいには鬼子母神のレリーフがあるのだけど、そちらは子供を膝に乗せた慈愛深い母といった雰囲気。





外壁には、様々な観音・菩薩像が彫られている。
左下は、おそらく観世音菩薩。右下は入口左側の虚空蔵菩薩。



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