ウシュマル周辺の遺跡
ウシュマルの周辺には、数多くの遺跡がある。代表的なものが、カバー・ラブナー・シュラパック・サイールであろう。ウシュマルから20k前後のところにあるこれらの遺跡は、おそらくウシュマルの姉妹都市・衛星都市だったと思われる。
これらの遺跡は、全てプウク様式の美しいものだが、それぞれの個性を比べてみるのも面白い。
カバー遺跡
カバー遺跡はウシュマルの18キロほど東南にある。
コズ・ポープと呼ばれる神殿や宮殿・マヤアーチの門などで有名
コズ・ポープ(仮面の神殿)
カバー遺跡で最も、有名な建造物。
通常のプウク様式というのはウシュマルの尼僧院等に見るように、建物の下部にはモザイクがなく、上部をモザイクで飾るというのが一般的だが、ここでは、建物の前面を全てモザイクで埋め尽くしている。
しかも、そのモザイクは全て雨神チャックの顔である。
近づくと、ひたすらチャックの顔・顔・顔・・・。
これが「仮面の神殿」といわれる由縁である。
なんとチャック神の顔は全部で約250ほどあるらしい。
また、コズ・ポープのコズというのは「巻く」という意味らしい。それは、チャック神の鼻が象のように長く巻いているから。
とはいえ、残念ながら、ほとんどの鼻が落ちてしまっている。
神殿の一番端に、一つだけ、完全な鼻を持つチャックが残っている。
左の写真がそれ。
どうみても象の鼻だが、マヤの人たちは象を見たことはなかった。
こんな姿だが、チャック神というのは恵みの雨をもたらす神として深く信仰されていたらしい。
ウシュマル周辺はユカタン半島の石灰岩層の大地で河川がない。
雨水がいかに人々にとって貴重だったかを示すものといえるかもしれない。
この神殿の裏手も、細かいモザイクに埋め尽くされている。
さすがにチャック神の顔ではなく、抽象的な模様であるが。
面白いのは、下部がモザイクで埋め尽くされ、上部には左のような人物像があることだろう。
マヤの遺跡で、このようなリアルな人物像は珍しい。
かっての支配者なのだろうか。
宮殿
宮殿は7つの入口を持つかなり大きな建物である。
いまはほとんど崩れているのだが、もともとは屋根に二重の飾りがあったらしい。
アーチ
カバー遺跡は、遺跡の中央を国道が走っており、コズ・ポープや宮殿の反対側に、この門がぽつんとある。
マヤアーチの門は、特に装飾があるわけでもなく、ある意味、そっけない。
しかし、かっては、、この門から、ウシュマルに通じる道が続いていた。
カバーとウシュマルの強いつながりを示す門でもある。
ラブナー遺跡
ラブナー遺跡は、気持ちのいい遺跡だ。
遺跡入口を入ると、まず、2階建ての宮殿が目に入る。
かなり崩れてしまっているが、なかなかの規模だ。
かってのエリート達の住居だったと思われる。
この宮殿から白い道が続いており、道の先には綺麗なアーチの残る宮殿跡や、ミラドールと呼ばれる建物が残っている。
宮 殿
宮殿には、おなじみのチャック神の頭部像などのレリーフがいくつもあるのだが、興味深いのが右の写真にあるような、蛇から顔を出した人物像や柱を模した浮き彫りである。
右の写真の建物の左端上部に、分かりにくいかもしれないが蛇が大きく口を開けていて、そこから人が頭を出しているのだ。
そして、建物の下部には柱を模したレリーフがいくつも残っている。
エル・ミラドール
エル・ミラドールとは「展望台」という意味。
神殿としている文献もあるが、下の方が修復されていないので、本来の姿は分からない。
神殿ピラミッドだったのだろうか。
建物上部の飾りが美しい。
門
マヤアーチが美しい門。
門の部分しか残っていないが、もともとは横に壁が続いていた。
こちらから見た姿も美しいが、門をくぐって中から眺めると、門にはかってのマヤの民家を模したモザイク模様などが施されていて、また、美しい。
シュラパック遺跡
シュラパックは広大なジャングルに埋もれた遺跡だ。
地図を見ると、かってはかなりの建造物があったらしい。
しかし、残念ながら、修復・復元された建造物はほとんどない。
左は数少ない修復された建造物。
上部にチャック神の顔がモザイクで刻まれ、下部は素地のままという典型的なプウク様式の建物である。
他にも幾つかジャングルに埋もれた建造物があるのだが・・・どちらかというと、建造物よりもジャングルの中で小動物にあうことを期待した方がいいかもしれない。
修復・復元が進めば、また、変わってくるのだろうが・・・。
サイール遺跡
大宮殿
サイールには、巨大な3階建ての宮殿が残っている。
かなり崩れてしまっているが、階段は建物の中央にあったと思われるので、元々は右の写真の2倍ほどの規模だったと思われる。
かなりの部屋数があったことは間違いない。
エリート達の住居として使用されていたのであろう。
1階部分の損壊が激しいのだが、2階部分はかなり修復・復元がなされている。
興味深いのは、雌雄の柱だ。
2階の柱は真ん中がくびれた柱とまっすぐな柱がセットになっている。
また、2階上部には、チャック神の頭部のレリーフや、降臨する神のレリーフも残っている。
壁には柱を模したレリーフも残されている。
これらの遺跡は車で回れば半日ほどで回ることができる。ウシュマル周辺に泊まれば、ウシュマルとあわせて1日で全てを回ることも可能。カバー遺跡はウシュマルとセットになったツアーもあるようだが、できればラブナー・サイールも回りたいところ。ラブナーは、とても雰囲気のいい遺跡だし、サイールの大宮殿は見ごたえがある。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||