バールベック

バールベックはベイルートの北東86K、シリア国境にも近いベカー高原のほぼ中央にある。古代から肥沃な場所で、しかもナイルとメソポタミアを結ぶ要衝の地として栄えたところで、フェニキア時代にはフェニキアの主神バールを祭っていたらしい。
ローマ帝国がバールベックに進行してからは、ローマ帝国の地方支配が地元民の信仰を否定するのではなくローマの神々との習合を図るというものであったため、バール神をローマの主神ジュピターと同一視して、ローマ皇帝がジュピター神殿を建設するようになった。
建設は、紀元前から始まり、完成したのは、あの悪名高いネロ皇帝の時とされている。

遺跡入り口に、バールベック遺跡の説明図があった。
写真の下が、復元図。

バールベック遺跡は、ジュピター神殿、バッカス神殿、ビーナス神殿の3つの神殿からなっていて、巨大なジュピター神殿の横にバッカス神殿が並び、少し離れたところにビーナス神殿が建てられている。
フェニキア時代にも、父・母・子の3神が祭られていたということなので、それを継承しているのかもしれない。

復元図の上にあるのはジュピター神殿の説明図。
右側が入り口、階段を通って6角形の前庭(この6角形というのはローマにはなく、フェニキアの伝統らしい)を通り、生贄を捧げたりする儀式を行った大庭園(今は、ここでコンサートが行われるくらい広い場所である)、その奥が本殿となっている。

ジュピター神殿の本殿は度重なる地震で、ほとんど壊れているが、残っている6本の巨大な列柱は有名。
バッカス神殿は、現存するローマ神殿の中で最も保存状態が良いといわれている。




ジュピター神殿



このジュピター神殿、入り口から6本列柱までが、かなりある。

まず、入り口の階段からして、巨大である。
しかも、かってはその幅が43mあったとのこと。階段の石はエジプトのアスワンから運ばれた赤御影石。豪勢である。

巨大な入り口の階段を登ってから、その先の6角形の前庭、そして祭壇のあった大広場に進む。
大広場には、かっては神殿に捧げる生贄を捧げる祭壇の跡が残っている。

この大広場は現在、コンサート会場として利用されるほど、広い空間であることは旅日記でも書いた。

この大広場は建物で囲まれていて、左の写真のような部屋がいくつかあって、かなり美しい。





大広場を進むと、巨大な6本列柱が見えてくる。

近寄ると、その巨大さがわかる。

柱の太さは2・2m。
柱の高さは20m以上。

柱と柱の間の装飾も美しい。

それにしても、こんな大きな柱の上に、どうやって天井・屋根を乗せたんだろうか。






逆光になってしまったのだが、バッカス神殿から撮ったジュピター神殿。

6本柱の下の基壇も巨大である。

下の方に、実は、小さく人が写っているのだが・・・あまりに小さくてわからないかもしれない。

下の石段の上に崩壊された柱がいくつか置かれていて、柱の断面が丸く写っているのだけど、その側に小さくいるのが人。

ジュピター神殿の柱の太さは2・2mだから、人の身長より、よっぽど大きい。

このジュピター神殿の土台には「トリ・リトン」と呼ばれる巨大な土台石があり、なんと長さ20m、幅4.5m、高さ3.6m、重量は800tなんだそうだ。
ちなみに現在の世界最大クレーンの積載重量は500t。つまり、現在の技術では運べない巨大石が使われているのである。




ジュピター神殿から、バッカス神殿に向かう途中には、かってはジュピター神殿を飾っていた装飾がたくさん転がっている。

左は、ライオンが口を開けた、きれいなレリーフ。

きれいだと思って、写真を撮ったところ、実は、これはジュピター神殿の屋根の雨樋との説明を受けた。

屋根の水を集めて、このライオンの口から、雨水が落ちる仕掛けになっている。
このライオンの雨樋は、他にもいくつも転がっている。

雨樋でさえ、これだけの装飾なのだから、かっての壮麗さは、それこそ、想像を超えるのかもしれない。

ローマ帝国時代は、ローマからも巡礼者が絶えなかったいうだけのことはある。







バッカス神殿


左はジュピター神殿の6本列柱付近から撮ったバッカス神殿。

神殿を背面から見た形になる。

屋根以外は、ほとんど残っているといっていい。現存するローマ神殿の中で、最も保存状態がいいといわれるだけのことはある。

コリント式の柱が神殿内陣を取り囲んでいる様子がはっきりわかる。





バッカス神殿の前面に回って撮った写真が左。

屋根が崩落しているものの、神殿前面の階段、入口、内陣が見事に残っている。

この神殿は150年ころに建造されたもの・・・、これだけ残っているというのは、奇跡的。

バッカス神殿はジュピター神殿よりはずっと小さいが、それでも間口34m、奥行69mという立派な神殿である。




バッカス神殿は、いたるところ美しいレリーフが残っている。

左の写真は、バッカス神殿入口の天井部分。

これは神なんだろうか。









左は、バッカス神殿のジュピター神殿側の天井。

コリント式の柱に支えられた天井には、美しいレリーフがびっしりと飾られている。

このレリーフは神々を刻んだものらしい。


ところどころ、この天井部分が崩落しており、近くで見ると神々のレリーフがよりはっきりと見える。

ともかく、美しい。












バッカス神殿入口の階段近くに飾られていたレリーフ

バッカス神である。

もともとは、神殿内部を飾っていたものらしい。

バッカス(酒神)が、少年というか青年の姿で描かれている。




時間の関係で、ビーナス神殿には行くことができなかったが、バールベックは素晴らしい。
最近、ペトラとかに押されて人気がいまひとつなのが、謎である。
まあ、たしかに「神殿」のみで、ペトラやパルミュラのように町ごと残っているわけではないが、やはり見事、納得の世界遺産である。

おそらく、レバノンの内戦状態が長く続いたことや、パレスティナ問題の関係で、レバノン観光が敬遠された影響なのだろうけれど。ぜひ、訪れたい遺跡。


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